圧延ロールには複数の種類が存在します。今回の記事では、圧延加工とはそもそも何か?圧延加工におけるロールの役割とは何か?圧延加工におけるロールの選定方法、当社の圧延機の納品実績に関して詳しくご紹介していきます。
圧延加工とは?
圧延加工とは、英語では”rolling mill”と主に呼ばれますが、2本のロールで材料を挟み圧力をかける事で材料を薄く延ばす塑性加工方法です。2本のロール間隔を変える事で材料の板厚を変える事が出来ます。
必要な材料厚みになるまで繰り返し圧延する事で希望厚みの材料に仕上げる事ができます。材料の特性により圧延性が変わる為、希望素材の材質、板厚、板幅、特性に合わせて最適なロール径を選定する必要があります。
圧延加工は、大量生産には欠かせない加工方法の1つとなっています。それは、圧延加工が連続的な加工方法であり、高速に製品を製造できる、さらに製品精度が高いという特徴があるからです。
圧延加工におけるロールの役割
圧延機は、ロールの間に鋼材を通すことでその厚さ、断面積を減少させると同時に、鋼材の接断面を目的の形状に成形する加工方法です。
中でもロールの役割は大きく2つに分かれ、それぞれ直接鋼材に接触し加工を行うワークロールとワークロールを支え、補助するバックアップロールです。
鋼材の板厚が薄くなればなるほど、ワークロールの径を小さくする必要があります。それに伴いワークロールの中心部分は曲がりやすくなってしまい、精度にばらつきが出ます。板厚に応じてバックアップロールの本数が決まり、圧延機の名称も変化します。
圧延加工における最適なロール材質の選定方法
ロールの材質としては、大きく鋳鉄ロール・鋳鋼ロール・鍛鋼ロールの3つに分類されます。
・鋳鉄ロール
表面が非常に硬く摩耗に対しては強いですが、強度が高くないという特徴を持っています。
・鋳鋼ロール
摩耗に対して強い耐性を持ち、熱にも強いことが特徴として挙げられ、幅広い用途で用いられております。
・鍛鋼ロール
主に冷間圧延用のロールとして使用されます。成分を変えることにより硬度、強度を高めることができます。
ここでは、鋳鉄ロール・鋳鋼ロール・鍛鋼ロールの3つをご紹介しましたが、選定においてはそれぞれのロールの特徴を十分に理解し最適なロールを選択することが重要となります。
当社ではほとんどが鍛鋼ロールを使用しますが、冷間圧延や熱間圧延、溝圧延やテープ圧延など、様々な圧延条件により異なるロール材質を使い分けます。また、ロール材質だけでなくロールに表面処理を行う場合もあります。
・冷間圧延用ロール
圧延する材料が非常に硬く、ロールも高い表面硬度が必要になる為、特殊なロール鋼を使用します。
・熱間圧延用ロール
加熱した材料を圧延する場合、圧延ロールにヒートクラックが入ります。その為ヒートクラックの入りにくい材質や材料にヒートクラック傷が転写し難いロールを使用します。
・溝圧延、線つぶし圧延用ロール
板の圧延に比べ材料が細く集中応力が掛かりやすい圧延ということもあり、ロール表面の硬度はもちろん、焼入れもより深くまで入るロール材質を選定する必要があります。特殊ロール鋼やハイス鋼、超硬ロールなどを使用します。
・ロールの表面処理
例えば電極板用のロールプレス機ではロール表面の錆防止や耐摩耗性の向上を目的にHCrメッキ処理を行うことが多いです。
圧延機の修理・メンテナンス事例
続いて、実際に当社が行った圧延機の修理・メンテナンス事例のご紹介です。
・減速機の潤滑油交換
14型ロールプレス機において、定期点検時に減速機の油交換を行いました。
・グリスアップ作業
10型4段圧延機の定期点検を実施しました。可動部、摺動部、軸受部のグリスアップを合わせて実施しております。
・圧延設備全体のライン芯調整作業
14型ロールプレス機において、床の経年変化によりライン芯のずれが発生していたため、ライン芯の調整作業を実施しました。
圧延機の改造事例
続いて、実際に当社が行った圧延機の改造事例のご紹介です。
・圧延ロールの段数の変更
2段圧延機において、薄板鋼板への生産に対応するため、ロールスタンド・ロール・チョック・ユニバーサルジョイントを追加し、4段/6段圧延機に改造しました。
・加圧装置を油圧圧下方式に改造
リチウムイオン電池の電極板の圧縮用のロールプレス機において、板厚み精度向上のため、加圧装置を電動圧下方式から油圧圧下方式への改造を行いました。
・制御盤・モータ・インバータ 入れ換え工事
30年前に導入させて頂いた大型4段圧延機の老朽化に伴い、制御盤・モータ・インバータの改造工事を実施し、現場の作業者様のご要望に応えて新たな機能の追加を行いました。
圧延機の納品実績
続いて、実際に当社が納品した圧延機の実績のご紹介です。
・6型2段温間圧延機
お客様の素材寸法と、ご要望の圧延条件から6型2段温間圧延機”2DR-160D”をご提案させて頂きました。当社内にある同型の社内テスト機でテスト圧延を実施させて頂き、圧延温度や荷重測定が可能な点など、お客様のご要望の仕様と性能を満足いただける事をご評価いただき、納入が決定しました。
・卓上型φ63熱間溝圧延機
新商品の探索試験が目的であり、素材寸法が小さかったことから、能力的に卓上型で十分賄えたので、卓上型φ63熱間溝圧延機””2RM-63D””を提案させて頂きました。外観寸法は小型で、狭いスペースに設置可能ですが、圧延荷重は最大5Tonまで可能な非常に扱いやすい圧延機です。
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圧延機・ロールプレス.comを運営する大野ロール株式会社は、圧延機やロールプレスの修理メンテナンスから改造、装置の設計・製造までを行う塑性加工機メーカーです。当社は1927年の創業以来、圧延機を中心としたあらゆる塑性加工機メーカーとして、多くのお客様に装置を納品してまいりました。また、ただ装置を設計・製造するだけでなく、修理メンテナンスにも注力しており、お客様に長く安心して装置を使用していただけるよう、日々様々なご提案をしております。
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