今回の記事では、薄板の圧延加工におけるポイントをご説明します。弊社では板厚200mmのインゴットから10μmの箔まで様々な板厚での圧延実績があります。

薄板を圧延するには?

圧延には最小可能板厚というものがあり、圧延するワークロール径によりどこまで薄く圧延できるというのが決まってきます。実際には材質や板幅、圧延油や温度等様々な圧延条件にもよりますが、一般的にはワークロール径を小さくしていく程、薄い板を圧延することができます。

形状制御

圧延では素材及び仕上りの板厚、板幅、材質等によりロールの段数を2段、もしくは4段・6段・8段・12段・18段の多段にする等、圧延機の構造を変える必要があります。板幅が広い材料をより薄く圧延したいという場合に上記のような多段圧延機にする必要が出てきますが、その際に問題になるのが圧延後の板の中延びや端延び等の幅方向の板厚のバラつきで、これをどう制御できるかが重要です。そこで、いくつか板幅方向の形状制御を行う方法を記載します。

クラウンロール

ワークロールもしくはバックアップロールの胴部(材料を圧延する面)にクラウン加工することで、板幅中央部と端部の板厚が均一になるようにします。例えば製品が1種類であれば細かい制御をする必要がなく通常の圧延と変わらず簡単ですが、製品が多品種の場合はそれぞれの材料毎にロールを交換する必要が出てくることもあります。また、ロールにどれくらいのクラウンを付けるかが難しく、計算上でロールのたわみ等を出すことはできますが、最終的には実際に圧延してみて再度クラウンを加工し直す必要があり、最初に最適なクラウン形状を見つけるのが大変です。

油圧ベンダー

多段圧延機で使われる場合は、インクリーズベンダー及びディクリーズベンダーを各チョック間に埋め込み、油圧の圧力によりチョック間を突っ張る力を変えてローラーの形状を制御します。クラウンロールと異なり油圧圧力による微調整が行えますが、板幅中央と端部の板厚差が大きい場合は制御しきれない可能性もあります。ロールプレス機(2段)では逆圧機構として、ロール軸端部に逆圧チョック及び油圧シリンダーを取付け、油圧シリンダーの力でロールを直接突っ張ることでクラウンコントロールしています。

ロールシフト

6段圧延機の中間ロールを材料の板幅方向へシフトすることで板幅形状を制御します。上下中間ロールをどれくらいシフトするかで微調整可能です。4段圧延機でも使用できますが、ワークロールに傷が付かないようなロール形状にする等の必要があります。圧延条件により様々ですが、一例として板幅より5~10mm程度中間ロールを内側に入れると仕上り板が良い形状になった実績もあります。

ペアクロス(スキュー圧延)

上下ロールをクロスさせて形状制御する方法です。クロスさせる角度を変えることにより微調整を行うことができ、2段だけでなく4段、6段等の多段でも使用可能です。基本的にはロールの中心に材料を通す必要があります。圧延条件により様々ですが、0.1~0.5°程度角度を変えると板幅方向で特に中央部付近の形状を良く制御できた実績があります。

薄板の圧延加工におけるポイント

前述のとおり、薄板を圧延するためにはロール径の選定及び板幅方向の形状制御が重要で、大野ロールでは様々な形状制御を行うことができる圧延機を設計、製造しています。

>>圧延加工について、詳しくはこちら!

薄板の圧延機は当社にお任せください

薄板の圧延加工におけるポイントについてご説明させて頂きました。
圧延機・ロールプレス.comを運営する大野ロールは、薄板の圧延加工を対象とした圧延機の納入実績を数多く保有しています。薄板は圧延加工が難しいですが、これまで培ってきたノウハウ・経験を活かし、圧延条件のご相談もお受けしています。また、薄板の圧延加工を新たにご検討中で、既設機を用いて行いたいというご要望をお持ちの皆様、既設圧延機の改造も可能です。薄板の圧延加工を行う圧延機の導入を検討中の皆様、お気軽に当社に御相談ください。

>>圧延機・ロールプレス.comの圧延機納入事例はこちら!

>>圧延機・ロールプレス.comの圧延機改造事例はこちら!